生糸業界の名門企業で、取締役企画部長というお情けの重役ポストにある男が、任期切れ直前、色と欲の二股をかけた人生最後の勝負に賭ける。<br />会社の含み資産に目をつけた香港の仕手筋の株買い占めに便乗して、自社株の思惑買いに出た。<br />しかし最後に思わぬ皮肉な結末が待ちうけている――。<br />表題作の株式がらみの企業小説をはじめ、企業に生きる人間が遭遇する重要な岐路をさまざまに描き、現代に生きる我々に示唆をあたえる傑作企業小説集。<br />