放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。<br />壊れた試験管の液体からただようあまい香り。<br />この匂いをわたしは知っている──そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床に倒れてしまった。<br />そして……目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始める。<br />思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。<br />わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時を超え、未来へと引き継がれる。<br />