「こゝろ」は後期三部作の終曲であるばかりでなく、漱石文学の絶頂をなす作品。<br />自我の奥深くに巣くっているエゴイズムは、ここでぎりぎりのところまで押しつめられる。<br />誠実ゆえに自己否定の試みを、自殺にまで追いつめなければならなかった漱石は、そこから「則天去私」という人生観にたどりつく。<br />大正3年作。<br />(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved