いつもと同じはずなのに、何かがしっくりこない。<br />テーブルの角が見つめている。<br />部屋に穴があいている。<br />何かがおかしい。<br />この前買ってきたアンティークの鏡台が? 祖父が? 彼女が? それとも僕自身が――? 日常にひそむ些細なずれが、人を恐怖に、あるいは不可思議な世界へと招き入れる。<br />原田宗典が想像力の限界に挑み、現実と虚無の間にひそむ異空間を描いた奇妙な短篇集。<br />