沢原は焦っていた。<br />一枚の写真と物語で世界を構築するフォトライターとして、手応えある像が見つからない。<br />沢原はカメラを手にやみくもに街を彷徨い歩く。<br />やがて鏡ごしに初めてその男と対峙した時、直感した。<br />‘こいつだ’と。<br />そして、男の連れこそ沢原が忘れることのできない女性・彩子であった……。<br />「鏡の顔」他、四編を収録。<br />