昭和2年7月24日、芥川は自宅で致死量の睡眠薬を仰ぎ、35年の生涯をおえた。<br />本巻収録の「或阿呆の一生」「歯車」等はいずれもその遺稿。<br />自らの末期を意識した凄絶な心象と病的に研ぎ澄まされた神経は、一種異様な美を生んで読者の心を打つ。<br />ほかに遺書「或旧友へ送る手記」最後の評論「西方の人」箴言集「侏儒の言葉」等を併録。<br />