人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない――。<br />午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。<br />受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった……。<br />記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。<br />透明感あふれる文体で綴る至高のロングセラー青春小説。<br />吉川英治文学新人賞受賞作。<br />