「トロッコ」は、少年の一小体験を淡い感傷と郷愁の中に描いて、人生の塵労に疲れた灰色の感懐を托した名作。<br />「一塊の土」は、農民生活に取材、その写実的観照と手法は芥川文学の一転機を示した。<br />ほかに身辺些事を扱って新分野を拓いた〈保吉物〉数篇、「六の宮の姫君」「お富の貞操」等、大正11、12年の作品21篇を収録。<br />