歯車が狂ったのはどこからだったろう。<br />就職して三年目に先輩に失敗を押しつけられた、あの時だ。<br />皆と同じようにやってきたつもりだった。<br />結婚して子供もいるはずだった。<br />なのに今の私は、常識さえ捨てれば、働かなくとも暮らしていけると知っている。<br />純真でもなく、賢くも善良でもない。<br />自分のしたことはいつか自分に返ってくるのかもしれない。<br />でも……。<br />心に問題を抱えた寂しがり屋たちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集!