電話がなっている。<br />だけど、ぼくは、電話器をとることができない。<br />いまのぼくには、君と話をする資格なんてない。<br />だって、ぼくは……。<br />あわい初恋が衝撃的なラストを迎える幻の名作「電話がなっている」や、バスケ少年の中学最後の試合を爽快に描いた表題作。<br />少年という存在の気持ちよさ、やさしさと残酷さ、あまりにも繊細な心の痛み、のぞきみえる官能――思春期の少年が持つすべての素直な感情がちりばめられた、みずみずしいナイン・ストーリーズ。<br />