80歳に近い高齢で、死を待つだけになった老婆・横尾こう。<br />こうには先に死んでしまった息子と娘の、嫁と夫に財産を残したくないという憎悪があった。<br />こうの死の床に立ったのは、あろうことか死へのお迎えでなく、家に忍び込んだ泥棒だった。<br />泥棒に再び怨念の火をつけられたこうは、復讐のために死の床から蘇える……。<br />表題作をはじめ、不思議な出来事が奇妙な世界へと誘う「異次元の夜」、いつもついてない男を描いた「無責任な恐怖」を収録した傑作集。<br />