園山由佳は、義兄から父親危篤の報せを受け、大阪へと向かった。<br />義兄の石丸伸太は通天閣のちかくで、父の看病をしながら司法書士兼お好み焼き屋を細々と営んでいる。<br />そんな彼のもとに、購入した土地の登記依頼が舞い込む。<br />ところが、その物件は購入者とは別の名義人の申請がなされ、しかも不正を働いた売り主は不審死を遂げる。<br />由佳と伸太はこの不可解な事件の調査を開始するが……。<br />日本の土地制度の矛盾を鋭く抉った横溝正史賞受賞作。<br />