刺青された男
灼熱の外洋でも、絶対にシャツを脱がない大男の船乗りがいた。
他人に見せられない刺青をしているという噂がある男だ。
ある日、私が船医をしている船で、船員同士の傷害事件が起きた。
被害者は日頃、仲間からゲジゲジのように嫌われている腕自慢の水夫である。
片目をつぶされ、肋骨をヘシ折られた瀕死の状態で運ばれてきた。
喧嘩の相手はなんと、あの謎の船乗りだった。
彼はいつの間にかボートを盗み、船から姿を消していた。
表題作ほか9篇を収録。
カバーイラスト/杉本一文
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