19××年8月末の夕方、アムステルダム市内の運河に浮かんでいた、銀色のジュラルミン製トランク。<br />――その内部には、血まみれの下着と共に、首と手首と脚を切断された、男の胴体があった。<br />オランダ警察は、下着の文字と黄色の皮膚から、被害者は日本人と判定、身元は、ベルギー駐在の一商社員と知れた。<br />……国際犯罪を描く、巨匠松本清張の本格推理小説!「セント・アンドリュースの事件」併載。<br />