都会でも田舎でもない、どっちつかずのとても宙ぶらりんな街が八王子だ。<br />その街の片隅で今日も僕は宙ぶらりんな気持ちのまま、4月の空をながめている。<br />僕は進学も就職もしなかったわけで、家業の工務店を真剣に手伝うわけでもなく、長い春休みをすごしているような毎日を送っている。<br />なぜなら、自分の中で決めていたからである。<br />プロのミュージシャンになることを……。<br />木根尚登が自らの青春の彷徨を描く、TMネットワーク結成前の伝説の物語。<br />