喪失記
五年間、一度も友人と食事をしたことがない。
他人と話をするのは、月二度程度という静寂だけの日々。
――理津子は男に飢えていた。
カトリック神父のもとで育った彼女は、恐ろしいほど規律正しい厳格な生活が、骨の髄まで染みついている。
他人に、自分に嘘がつけない。
誤ちには厳しい戒めもいとわない。
そんな理津子の前に、本能の赴くままに生きる男・大西が現れて……。
子供から大人へ――。
精神と肉体の変化、個人と社会との関わりを残酷なまでに孤独な女性を通して描ききる。
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