敗戦直後、食うに食えず、ペテンにかけられたみたいに北海道に渡り、運命のいたずらにほんろうされる‘ロビンソンの末裔’たちの苛酷な自然との苦闘を、作者は、いささかの感傷をもまじえずに乾いた文体で描く。<br />この底なし沼にすりへらす、人間の貴重な労働力に、本書はいやおうなしに世間の目をむけさせる。<br />