人生には忘れがたい瞬間がある。<br />十四年前、東京駅のプラットホーム。<br />そこにいたのは互いに縁もゆかりもない29歳の人妻と27歳の独身商社マン。<br />運命が連れ添うはずもない二人を引き寄せたのだった。<br />だが、輝かしい時間も歳月とともに色褪せてゆき……。<br />燃えるような恋とその後の顛末を綴った文庫オリジナル作品「誰の中にでもいる彼」ほか6編を収録。<br />ベストセラー『水曜の朝、午前三時』の著者が贈る、珠玉短編集。<br />