道三堀から深川へ、暮らしに欠かせない飲み水を届ける水売りたちは、皆自分の仕事に誇りをもって働いている。<br />そんな水売りの一人、龍太郎には、蕎麦屋の娘・おあきという許嫁がいる。<br />日本橋の大店が蕎麦屋を出すとの報せに、「美味い水」が必要だと思い知らされ、協力して美味い水造りを始めるが、いつしか二人の間に微妙な隙間風が吹き始めて…。<br />人の気持ちに翻弄されつつも、せつなく凜々しい、江戸の「志」を描く長編時代小説。<br />