道ばたで偶然年上の美しいエマと知り合った十八歳の私。<br />贅沢で気難しく奔放で孤高、その上匂い立つばかりのエロティシズム。<br />エマの魔力にとりつかれた私がそのボーイフレンドを次々寝取ったことは、むしろ自然な成り行きであった――無名の詩人・晋平が出現するまでは。<br />人が人を好きになる罪悪と悦び。<br />愛し合えば合うほど陥る孤独という裂け目。<br />誰も描き得なかった愛と哀しみに踏みこみ、小池ロマンの分岐点となった恋愛小説の金字塔。<br />