12年前の夏、‘蔦屋敷’と呼ばれる熱海の洋館で、淳は白いドレスの少女百合に出会った。<br />幼い少年の日の、謎めいてエキゾチックな邸での記憶そのまま、今、淳の目の前に百合が居る。<br />兄の婚約者として、事故で動かなくなった体を横たえ眠っている――。<br />画廊の火災を発端に度重なる災厄、死までも華麗な舞台装置とし、耽美な物語世界を独得な個性で描く。<br />森村誠一氏、夏樹静子氏絶賛の、横溝賞受賞女流の長編ミステリー。<br />