軍靴の響き
――それは、時代の曲がり角をはっきりと象徴していた。
昨夜、寝室でその女を抱いて寝た男は‘軍靴’をはいた男だった。
〈戦争〉に虐げられた、あの忌わしい記憶がよみがえってきた……。
すさまじい日本経済の海外進出は、インドネシアに政情不安を起こした。
政治は腐敗堕落し、むき出しの反日感情が昂まった。
日本政府は、西イリアンの石油利権を保護する名目で派兵を強行。
既成事実がつくり上げられ、刻々、〈戦争の危機〉が近づいていた! どす黒い現代の恐怖感を描いた、著者会心の長編小説。
カバーイラスト/杉本 一文
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