役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは、出張先の宴会の席であった。<br />外出中、心臓麻痺を起こし、助けを求めて駆け込んだ化粧品店で息絶えたという。<br />義妹によって知らされたその死に場所は、妻から一度も聞いたことがなかった地名であった――。<br />妻の死の真相を探るうちに、一転して脅迫される立場になるという巧みなプロットの面白さ。<br />小心な官僚の心理描写の卓抜さ。<br />清張サスペンスを満喫する長篇小説。<br />