考える葉
男は、心臓を鋭利な刃物で刺され、右胸の皮膚を円く抉ぐられていた。
新緑の四月初め、場所は、東京西方の田園を流れる川のほとり。
……警察の捜査は、男が愛知の硯職人で、死の前、甲州の山あいの一鉱山を訪れたことを突きとめたが、続いて起こる、二つの殺人。
被害者は、旧日本軍憲兵の前歴を持つ浮浪者と、東南アジアR国から秘密の目的で来日した一外国要人。
謎の渦中に巻きこまれた若者崎津の前に、事件は、意外な拡がりと様相を示して展開する。
――巨匠松本清張の、野心的推理長篇!
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