ひとりの人間の犠牲において成立した宗助とお米の愛の勝利は、やがて罪の苦しみにおそわれる。<br />「人間の心の奥底には結核性の恐ろしいものがひそんでいる」という。<br />ついに宗助は禅寺の山門をたたくが、安心と悟りは容易に得られない。<br />そこに真の意味の求道者としての人間漱石の面目があった。<br />明治43年の作品。<br />(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved