部長の絶大な信頼を受けていた松山は、彼の愛人の面倒をみるうちに彼女と関係を持ってしまった。<br />松山は自分の家庭と地位を守るために彼女を殺し、殺人の容疑が部長にかかるように仕組んだ。<br />完全犯罪になるはずだった松山にとって、唯一の気がかりは、殺人を犯した日に電車賃を貸した見知らぬ若者が、何度も松山の所を訪れ執拗に小銭を返そうとする事だった。<br />受け取るとあの日のアリバイが……。<br />意外な結末が胸をうつ表題作他、日常に潜むミステリーを描いた傑作、全6編。<br />