新田隆弘は鬱屈をため込んでいた。<br />かつては渋谷で伝説のチームと言われた‘金狼’の元メンバーも、今ではヤクザの下っ端。<br />兄貴分の命令で高校生が作った売春組織を探っていた隆弘は、中心人物の渡辺栄司に辿り着く。<br />さして喧嘩が強そうでもない、進学校に通う色白の優男。<br />だが、栄司は仲間を圧倒的な恐怖で支配していた。<br />いったい何故。<br />隆弘が栄司の全く異質な狂気に触れたとき、破滅への扉が開かれた――。<br />