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血と砂

9月初めの仮面舞踏会の夜、下弦の月が照らす広い庭を里子は眺めていた。
その時、枯山水の白砂を踏んで、痩男の能面をつけた若い男が近づいた。
夢幻能のようなその場面が、北ノ庄浩作との奇妙な出会いであった……。
鎌倉の剣道場を破門された浩作は、繁栄と享楽の時代に身を置きながら、そうした自分を冷めた意識で見ていた。
陽光溢れる湘南の海辺と街を背景に、70年代初頭の放恣で無軌道な青春の光と影を、虚無とペシミズムの色濃い視線で捉え、鮮かに定着した長編小説。




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