鬼狂い
愛する娘美和を白血病で失った時、夏目国光の妻佐里は出奔した。
六年の後再会した佐里は末期癌に冒され喘いでいた。
共に離さず肌に抱いていた愛娘の骨片が空白を埋めた。
夏目は警察をやめ、家を売り、更に強盗を働いて金を作って、骨を噛む苦痛から佐里を解放するため、麻薬を購って死出の旅に出た。
警察に追われ窮地に立つ二人を救ったのは山中に潜む老婆の集団だった。
数奇な出来事と秘薬が与えた妖しい光明に従って、夏目と佐里の北へ向う旅が再び始まる――。
生と死の深淵と凄絶な愛の形を物語に紡いで、著者の小説世界の一大結晶を示した、傑作ハードロマン。
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