花の季節、花見客で賑わう乗合船で起こった強盗騒ぎで、若い娘が機転を利かせ、強盗を川に投げ込んだ。<br />人々がはやし立てる中、「女のくせに見苦しい」と嘲笑した侍に腹を立てた娘。<br />だが、旗本の次男坊と料亭の蔵前小町はやがて恋に落ちた。<br />時は幕末、時代の波が2人を飲み込んでいく…。<br />「御宿かわせみ」シリーズの原点ともいうべき表題作をはじめ、平岩文学の原型を凝縮した7編を収録する短編集。<br />