内戦の末に賊軍の汚名を着せられ、上洛に唯一の活路を見出した天狗党の千余名は、愛すべき水戸の町を後に、京へ向かって苦難に満ちた大行軍を開始した。<br />執拗な追手の攻撃、行く手を阻む厳寒の山河、続出する怪我人や病人。<br />「京へ行けば逆賊の汚名を晴らせる」一途にそう信じて進む彼らの前に、絶望的な道程が待ち受けていた……。<br />幕末に起きた天狗党の悲劇の顛末を、全編一人称の語りで描いた著者入魂の力作長編!