むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃がある――。<br />母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。<br />孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。<br />母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。<br />近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。<br />それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。<br />