大正中期、四国の隔絶された漁村に突如、白い異国船が現れた。<br />目的は高価な桃色珊瑚。<br />乱獲により珊瑚は採れなくなって久しかったが、イタリア人のエンゾは海深く潜り珊瑚を探し続ける。<br />そんな彼に強く惹かれていく海女のりんを、幼なじみの健士郎は複雑な気持で見つめていた。<br />やがて採れないはずの珊瑚が発見されたことから、欲望にとり憑かれた若者たちが暴走し始める――。<br />自然の厳粛さと人間の愛憎を描いた、傑作伝奇小説。<br />