結局、霧が問題なのだ。<br />霧の夜の殺人。<br />――これこそが私の求める「理想的な殺人」なのだ。<br />私こそが「切り裂きジャック」の名にふさわしい。<br />私の名は平田正也。<br />36歳で天涯孤独の身の上だ。<br />世俗的には平凡なサラリーマン生活を送っている一市民だ。<br />だがその高邁な思想にもかかわらず、周辺に起る謎の連続殺人事件…。<br />姿なき殺人鬼の正体は? 赤川次郎が新境地に挑む、ユーモア・サスペンス・ミステリー。<br />