海岸沿いのバス停に降り立ったのは、老夫婦だった。<br />日本画の大家・藤三と長年連れそう妻ハルは死に行く旅に出た。<br />灰谷健次郎が描ききった明るくさわやかな「老いの文学」の最先端。<br />※本書は、2001年12月に理論社から刊行された単行本『風の耳朶』を改題し、文庫化したものが底本です。<br />