八ヶ岳の麓にあるアカマツの診察を終えた樹木医の沢村は、自身のホームページを通して知り合った陽子という若い娘を見舞うため、諏訪湖畔にある病院へ向かった。<br />和やかな面会の最中、陽子の母親が病室に入ってきたが、彼女は、二十数年前、愛し合い、片時も離れたくないと思っていた美枝子だった。<br />運命の再会を果たしてしまった55歳の樹木医と46歳の画廊喫茶の女店主。<br />情趣豊かな風景の中で燃えあがる恋情を描く、珠玉の恋愛小説。<br />