27歳のグラフィック・デザイナー桐生亜希が、その青年をはじめて見かけたのは、宵山の雑踏の中でだった――。<br />祇園祭の夜に芽生えた岸田との若い恋。<br />初老の画廊主・影山が誘う暗い性の深淵。<br />二つの力に惹かれる亜希。<br />愛し愛されながら、心に満たされぬ空白を抱いて、亜希は今、幻想のペルシャの遙かな地平へと旅立つ。<br />女性の愛と哀しみ、その新しい生き方を描いた名作。<br />