「付き馬屋おえん」シリーズ
吉原の遊女屋の奥座敷で、画帳に筆を走らせながら、男女の痴戯を見つめるひとりの老人がいた。
春画の大作、〈おんな三十六景〉の制作に取り組む絵師・葛飾北斎その人であった。
ついに版木まで完成して、その祝宴が開かれたのが大晦日、ところが元日未明、この畢生の傑作は忽然と消え失せる。
御法度の春画だけに、公にできないこの捜索は、おえんのもとに持ち込まれた。
表題作ほか「女郎蜘蛛妖変」「難波の大尽」「馬屋子守唄」「吉原布団部屋」「武州一の宮」を収録。
ヒロインおえんの鉤縄と啖呵が悪を懲らす、連作時代短篇集。
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