日露戦争間近の明治38年、金沢に捕虜として収容されたロシア士官イワーノフ少尉と宿命的な恋に落ちた花街の美貌の芸妓氏染乃。<br />二人を待ち受けたのは偏見と迫害、そして愛する者との別離という運命だった。<br />※本書は、『朱鷺の墓』上、中、下(新潮文庫、一九八二年)を上下に二分冊したものが底本です。<br />