タクシーの運転手は寡黙だ。<br />その内側に、客に対する様々な心理や感情を働かせていても、それを語ることがない。<br />言わば〈無言の観察者〉である。<br />この存在は、作家の興味をそそる。<br />生身の欲望を秘める人間が他人の生命を預かる病院、これは興味以上に、無気味である。<br />『地の指』とは、土地が暗示する真相を意味している。<br />(「作者のことば」より)巨匠の長編社会派ミステリー。<br />全2冊完結篇。<br />