「週刊婦人界」退社を決意した恵子にもたらされた知らせ――それは女流作家梶村の突然の死だった。<br />梶村の愛人の評論家大村からその謎の探索に協力を求められた恵子は、奥湯河原の宿に脳溢血で一人床に伏す梶村を発見する。<br />その境遇に同情した彼女は、梶村の未発表原稿をマスコミに売り歩き、ようやく応急の療養費を調達するが……。<br />男たちの醜い欲望にもまれながら健気に自立の道を求めるヒロインの美しき挑戦を描く、巨匠の長編力作。<br />