幽剣抄
九鬼原の美しき妻・知也の背に浮かび上がった30半ばの脂ぎった男の顔。
それはかつて、知也に求愛していた千田君平のものだった。
千田は、何者かに襲われ命を落とし、その後、知也の背中にとりついたのである。
なんとか千田を成仏させようとする九鬼原だったが――。
表題作ほか「鯛の顔」「うるさ方」「覗く」「生ける死者」「夜の番所」「からくり進之丞」「蜃気楼」「僕の世界」「元服宣言」「戦さ人」を収録。
藩のため、家のため、剣のためすべてを失った下級武士たちの姿を悲哀とユーモアで綴った時代小説怪異譚。
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