バルセロナから帰国する日、空港へ向かう途中の床屋で、髭をあたって貰うことにした。<br />髭を剃り終えて床屋を出ると、外は激しい夕立。<br />すると、床屋の主人が無言のまま女物の傘を差し出す。<br />傘を借りても返しに来られないと断るが……。<br />(「雨の止む傘」より)北欧から南米へ、夢から現実へ、世界のあらゆる土地を舞台に架空の旅を綴った、原田流紀行文。<br />『旅の短篇集 春夏』に続く幻想的なショート・ストーリー集、第2弾!