中学二年生の俊輔は、たったひとりで剣道部の合宿へむかうところだった。<br />夏期講習に参加したため、みんなと一緒に出発できなかったのである。<br />合宿先は毎年恒例の、貸し別荘が点在する避暑地だったが、剣道部が借りたのは恐ろしく古く薄汚れた施設だった。<br />終点のバス停まで迎えに来てくれた先輩と暗い山道を歩くうち、俊輔は林のなかに青白く光る不思議な火の玉を目撃してしまう……。<br />ホラー大賞長編賞作家の、傑作短編集!