人は、いったい何のために日記を書くのだろうか? 大学時代の恋人・内藤茜を捨てた町田輝樹のもとに、差出人不明のノートが返送されてきた。<br />表紙には茜の筆跡で『かげろう日記』。<br />だが茜は、輝樹にふられた十ヵ月後に、不幸な事件で死んでいる。<br />日記は生前の彼女が、やがてくる悲劇的運命も知らず、忘れられぬ輝樹への思いを綿々と書き綴ったものだった。<br />それを読みはじめた輝樹は、日記が死の日に近づくにつれ、茜の存在を体感する恐怖に襲われていく。<br />