藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。<br />視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。<br />ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。<br />「火星の迷宮へようこそ。<br />ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。<br />『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。<br />