村はずれで暮らす妖鬼の皐月に、奇妙な依頼が持ち込まれた。<br />病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。<br />屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。<br />そこで皐月に屏風の話相手をしてほしいというのだ。<br />嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき――。<br />しみじみと心に染みる、不思議な魅力の幻妖小説。<br />第15回ホラー小説大賞短編賞受賞作。<br />