数本の包丁を携えた元ハウスキーパーの香取純一は、空港近くのホテルで人生を振り返る。<br />最愛の母との貧しい暮らし、漫画家という夢、初恋相手の風俗嬢……幸せな思い出もあったが、終いにはいつも裏切られた。<br />それらのダメージは水のように滴り続け、あることをきっかけに、ついに香取の心から溢れ出した。<br />彼が静かに最初の客室の扉を開ける時、惨劇が始まる。<br />痛切な回想と現在の悪夢に圧倒される、怒涛のホラー・サスペンス