ホースの穴に指を突っ込んだら、全身がするりと中に入ってしまった。<br />それからというもの、ソバを食べる同僚の口の中、ドーナツ、つり革など、穴に入れば入るほど充実感にあふれ、仕事ははかどり、みんなから明るくなったと言われるようになった。<br />だが、ある一つの穴に執着したことから、彼の人生は転機を迎えることになる──。<br />卓抜したユーモアセンスが高く評価された第18回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作に他4編を収録。<br />