スウィングしなけりゃ意味がない
1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。
軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。
戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。
ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、‘スウィング(ジャズ)’だ。
敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。
ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。
ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。
だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた……。
一人の少年の目を通し、戦争の狂気と滑稽さ、人間の本質を容赦なく抉り出す。
権力と暴力に蹂躙されながらも、‘未来’を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。
※特典:著者によるあとがき「跛行の帝国」、紙では載せきれなかったロングバージョンを収録。
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